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その日、ようやく子守から解放されたバリクが執務室の扉を開くと、違和感を感じた。
原因を探るためゆっくり部屋を見渡せば、上司の顔に目が留まった。何かくわえてる。
近づいてよく見ると白い棒状のものだった。
バリクは無駄にピンときた。
「将軍!」
「ん?」
「本部内ではタバコを吸っちゃダメなんですよ!」
「吸っちゃダメ」ときた。リヴァンは表情を変えずに驚いた。
最近ノラの相手をしてるせいか、バリクの言動の端々から保育士臭がする。
本人はそんな事には気付かず鬼の首でもとったかのように誇らしげな様子。
普段いじられる事が多いだけに上司の不幸(?)が嬉しいようだ。
「タバコ嫌いのカイン様に吹っ飛ばされるのも時間の問題ですね」
そこまでカインはアグレッシブではない。
「100年に一度はお墓参りに行ってあげます」
リヴァンはそろそろ(無駄にテンションの高い)バリクの相手に飽きてきた。
ぎりぎりまで引き伸ばして最後に思う存分嘲笑うという予定を繰り上げて、
くわえていた物をバリクに見せた。
今度はバリクが驚いた。
「・・・飴?」
「チュッパチャップス(抹茶味)」
バリクのテンションが目に見えて急降下した。
リヴァンは予定通り嘲笑うことができたので満足した。
「やるよ」
「結構です」
テンション絶不調のままピシャリと断る。
リヴァンも気にした様子はなく、また飴をくわえ仕事を再開した。
執務室にはペンを走らせる音が響いて、ゆったりとした空間を作り上げる。
気温は機械の力を借りてもいないのに、暑くもなく寒くもなく快適だった。
最近はレジスタンスとの抗争はなく、気も緩みがちである。
ようするに眠かった。
バリクが何度目かのあくびをかみ殺したとき、視線を感じた。
咎められたのかと思って慌てて振り返るとリヴァンと目が合った。
相変わらず飴をくわえながら、気だるげにこちらを見ている。
「眠いのか」
ここで嘘をついても仕方がない(というかバレる)ので素直に頷くと、
リヴァンが扇子を持った手で手招きした。
もちろんバリクは素直に近づいたりしない。
「警戒しすぎなんだよこのタコ」
「警戒させてるのはあなたでしょう」
「とんだ言いがかりだな」
「飛んでるのはあなたの頭だけで十分です」
魔王軍内でもリヴァン相手に軽口を叩く悪魔は少ない。
上下関係の問題もあるがそれ以上にリヴァンに対する偏見があるのだろう。
だいたいの兵士が「少しでも下手なこと言ったら即魔法発動」と思っているが
リヴァンはそこまで細かくないしアグレッシブでもない。
よっぽど嫌われていたり、敵意を向けたりしなければ大抵の事は流される。
それをいいことに(?)バリクは好き勝手言っているが、
その光景を遠巻きに見守る水軍一般兵の心中は並々ではない。
「せっかく俺が親切してやろうしてるのに」
「どうせろくなものじゃ無いのでしょう」
「眠いんだろ」
「そうですが、ちゃんと仕事はできます」
リヴァンがそう尋ねてくる理由はわからないが一応釘を刺しておく。
バリクの眠気を理由にボイコットなんてされるわけにはいかない。
そんな警戒心丸出しの部下を気にせず先を続ける。
「口の中になにかあると眠たくなくなるんだそうだ」
バリクはまたもやピンときた。
「飴の味に飽きたんですね」
「よくわかったな」
「言っておきますが、いりませんから」
なにが悲しくて上司と間接キスなどしなければいけないのか。
しかしリヴァンはよっぽど飴に飽きているようで、諦めようとしない。
ゴミ箱に捨てるという選択肢はないらしい。
「間接キスくらいでがたがた言うんじゃねえよ生娘かテメェは。
俺とテメェは一緒の(病院の)ベッドで寝た仲だろう?」
どよっと背後がざわめいたがバリクは気付かない。
「あれはあなた(の作戦)が強引過ぎたからでしょうが!
俺はダメだと言ったのに…」
さらに周囲に動揺が広がりようやくバリクも異変に気付く。
何事か確認しようと振り返ると、ざわめきはぴたりと止んだ。
首を捻りつつも顔を戻すと、いつのまにか上司が目の前に立っていた。
驚いて口を開けた拍子になにか突っ込まれた。
「甘っ!」
「落とすなよ」
部下の額のしわが倍増したことに満足したのか、そのまま自分の机に戻った。
残されたバリクは捨てることも出来なくて(もったいない病)
結局最後まで舐めきった。
その日から水軍両将はホモカップルという噂がたった。
原因を探るためゆっくり部屋を見渡せば、上司の顔に目が留まった。何かくわえてる。
近づいてよく見ると白い棒状のものだった。
バリクは無駄にピンときた。
「将軍!」
「ん?」
「本部内ではタバコを吸っちゃダメなんですよ!」
「吸っちゃダメ」ときた。リヴァンは表情を変えずに驚いた。
最近ノラの相手をしてるせいか、バリクの言動の端々から保育士臭がする。
本人はそんな事には気付かず鬼の首でもとったかのように誇らしげな様子。
普段いじられる事が多いだけに上司の不幸(?)が嬉しいようだ。
「タバコ嫌いのカイン様に吹っ飛ばされるのも時間の問題ですね」
そこまでカインはアグレッシブではない。
「100年に一度はお墓参りに行ってあげます」
リヴァンはそろそろ(無駄にテンションの高い)バリクの相手に飽きてきた。
ぎりぎりまで引き伸ばして最後に思う存分嘲笑うという予定を繰り上げて、
くわえていた物をバリクに見せた。
今度はバリクが驚いた。
「・・・飴?」
「チュッパチャップス(抹茶味)」
バリクのテンションが目に見えて急降下した。
リヴァンは予定通り嘲笑うことができたので満足した。
「やるよ」
「結構です」
テンション絶不調のままピシャリと断る。
リヴァンも気にした様子はなく、また飴をくわえ仕事を再開した。
執務室にはペンを走らせる音が響いて、ゆったりとした空間を作り上げる。
気温は機械の力を借りてもいないのに、暑くもなく寒くもなく快適だった。
最近はレジスタンスとの抗争はなく、気も緩みがちである。
ようするに眠かった。
バリクが何度目かのあくびをかみ殺したとき、視線を感じた。
咎められたのかと思って慌てて振り返るとリヴァンと目が合った。
相変わらず飴をくわえながら、気だるげにこちらを見ている。
「眠いのか」
ここで嘘をついても仕方がない(というかバレる)ので素直に頷くと、
リヴァンが扇子を持った手で手招きした。
もちろんバリクは素直に近づいたりしない。
「警戒しすぎなんだよこのタコ」
「警戒させてるのはあなたでしょう」
「とんだ言いがかりだな」
「飛んでるのはあなたの頭だけで十分です」
魔王軍内でもリヴァン相手に軽口を叩く悪魔は少ない。
上下関係の問題もあるがそれ以上にリヴァンに対する偏見があるのだろう。
だいたいの兵士が「少しでも下手なこと言ったら即魔法発動」と思っているが
リヴァンはそこまで細かくないしアグレッシブでもない。
よっぽど嫌われていたり、敵意を向けたりしなければ大抵の事は流される。
それをいいことに(?)バリクは好き勝手言っているが、
その光景を遠巻きに見守る水軍一般兵の心中は並々ではない。
「せっかく俺が親切してやろうしてるのに」
「どうせろくなものじゃ無いのでしょう」
「眠いんだろ」
「そうですが、ちゃんと仕事はできます」
リヴァンがそう尋ねてくる理由はわからないが一応釘を刺しておく。
バリクの眠気を理由にボイコットなんてされるわけにはいかない。
そんな警戒心丸出しの部下を気にせず先を続ける。
「口の中になにかあると眠たくなくなるんだそうだ」
バリクはまたもやピンときた。
「飴の味に飽きたんですね」
「よくわかったな」
「言っておきますが、いりませんから」
なにが悲しくて上司と間接キスなどしなければいけないのか。
しかしリヴァンはよっぽど飴に飽きているようで、諦めようとしない。
ゴミ箱に捨てるという選択肢はないらしい。
「間接キスくらいでがたがた言うんじゃねえよ生娘かテメェは。
俺とテメェは一緒の(病院の)ベッドで寝た仲だろう?」
どよっと背後がざわめいたがバリクは気付かない。
「あれはあなた(の作戦)が強引過ぎたからでしょうが!
俺はダメだと言ったのに…」
さらに周囲に動揺が広がりようやくバリクも異変に気付く。
何事か確認しようと振り返ると、ざわめきはぴたりと止んだ。
首を捻りつつも顔を戻すと、いつのまにか上司が目の前に立っていた。
驚いて口を開けた拍子になにか突っ込まれた。
「甘っ!」
「落とすなよ」
部下の額のしわが倍増したことに満足したのか、そのまま自分の机に戻った。
残されたバリクは捨てることも出来なくて(もったいない病)
結局最後まで舐めきった。
その日から水軍両将はホモカップルという噂がたった。
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