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「一人で入れますか?」
部下が失礼なことを言ったが、水軍将は無視して風呂場に向かった。
それでも今は子供の身体なのですぐにバリクに追いつかれた。
「脱いだ服はここ、タオルはここです。中の石鹸等は好きに使ってください。それと…」
「もういい」
部下の説明を面倒臭そうに遮って服を脱ぎ始める。
これ以上言っても聞かないだろうと判断して、バリクは代えの服を置いて出て行った。
子供の身体だとリヴァンが不機嫌そうにしてもちっとも堪えた様子が無いので面白くなかった。
(戻ったらシめる)
理不尽な決意をする水軍将。
乱暴に扉を開けると、リヴァンのそれと比べると狭い日本風呂だった。
宿舎を使う者は人間界好きの魔王のおかげで、間取りや風呂の種類は選べる。
バリクは和式風呂を選んだようだ。彼に似合っていると思った。
使い方はあまり知らなかったので適当に身体を洗ってから湯に浸かった。
洋式とは違って湯に浸かった後は動かない。これも良いかもしれないと一息ついたとき、
湿った空気に無愛想な部下の匂いがまじっているのに気付いた。
(洗髪料あたりか?)
湯に浸かったままシャンプーを手繰り寄せてみたが、特に匂いはなかった。
他の洗料も試してみたが全てほぼ無臭であった。
リヴァンは首をかしげる。
(香水の匂いじゃねえし…)
バリクが香水を使ってないことは知っていた。
それにあれは良い香りという訳ではなくどこか田舎くさい感じのするものだった。
リヴァンはそれが嫌いではなかったが、どこで嗅いだのか思い出せなかった。
しばらく考えていたが、のぼせてきたので風呂から上がった。
代えの服を着たが、今のリヴァンには大きすぎた。
「タコ、タコ、タコ、タ「誰がタコですか!」
悪口は聞き逃さない部下がすぐに駆けつけてくる。
「服がでかい」
「いつ元に戻るか分からないのですからそれで我慢してください」
困ったように言われた言葉に、それもそうだと納得する。
子供服を着たまま寝て、睡眠中に直りでもしたらえらい事になるだろう。
裾を引き摺りながら歩くと、バリクが見かねてズボンの裾を折った。
礼も言わずそのままソファを陣取りテレビをつける。
見たい番組も無くてチャンネルを回していると皿洗い中のバリクが声をかけた。
「そろそろ寝たほうがいいんじゃないですか」
「んー…」
生返事を返してチャンネルを変えるとちょうど釣り番組をやっていた。
ソファにもたれかかってなんとなくテレビを見る。
このソファは硬くて動くたびにギシギシと音をたてた。
台所からはバリクが皿を洗う音が聞こえる。
安っぽい時計の音が響く。
「将軍、ここは冷えます。少し起きてください」
「……ん」
ソファで半分以上寝てしまった上司にバリクはため息をついた。
来賓用の布団は持っていないが、せめて自分のベッドを使ってもらおうと思っていたのに。
呼びかけると一応は反応するので熟睡してないのは分かるが、起きる気はないようだ。
もう一度ため息をつくと、バリクはゆっくりと幼くなった上司を抱き上げた。
小さな身体にぶかぶかのシャツがミスマッチで少し笑える。
起こさないように寝室に運んでベッドに下ろすと、リヴァンが枕に頭を摺り寄せた。
それを見てバリクはシーツを洗ったばかりでよかったと思った。
「…なぁ」
「なんです?」
眠たげな声でリヴァンが呼びかけた。
「この布団なんかしたのか?」
「なにか…?」
特に気合を入れて洗ったわけでもないしクリーニングに出したわけでもない。
ただ普通に洗って干しただけだと伝えると、リヴァンが小さく笑った。
「なるほど…」
なにを納得したのか聞きたかったが、まどろむ子供を起こすのも可哀想だったので
バリクはソファで寝るために静かに自室を後にした。
暗くなった寝室。まどろみのなかでリヴァンは子供時代を思い出していた。
夜、自宅を抜け出してレナードの家へ行くと、文句を言いつつもリヴァンをベッドに入れた。
そのとき嗅いだ匂いと同じだった。
(たいようの…)
太陽の光をいっぱいあびた布団の匂い。
リヴァンの家ではこのような古典的な方法ではなく魔法を使っていた。
大きくなってからはレナードも香水を使うようになって、匂いは消されてしまった。
昔に返りたいとは思わないけれども、たまに思い出すのは悪くはない。
懐かしい匂いに包まれて、リヴァンは眠りに落ちていった。
部下が失礼なことを言ったが、水軍将は無視して風呂場に向かった。
それでも今は子供の身体なのですぐにバリクに追いつかれた。
「脱いだ服はここ、タオルはここです。中の石鹸等は好きに使ってください。それと…」
「もういい」
部下の説明を面倒臭そうに遮って服を脱ぎ始める。
これ以上言っても聞かないだろうと判断して、バリクは代えの服を置いて出て行った。
子供の身体だとリヴァンが不機嫌そうにしてもちっとも堪えた様子が無いので面白くなかった。
(戻ったらシめる)
理不尽な決意をする水軍将。
乱暴に扉を開けると、リヴァンのそれと比べると狭い日本風呂だった。
宿舎を使う者は人間界好きの魔王のおかげで、間取りや風呂の種類は選べる。
バリクは和式風呂を選んだようだ。彼に似合っていると思った。
使い方はあまり知らなかったので適当に身体を洗ってから湯に浸かった。
洋式とは違って湯に浸かった後は動かない。これも良いかもしれないと一息ついたとき、
湿った空気に無愛想な部下の匂いがまじっているのに気付いた。
(洗髪料あたりか?)
湯に浸かったままシャンプーを手繰り寄せてみたが、特に匂いはなかった。
他の洗料も試してみたが全てほぼ無臭であった。
リヴァンは首をかしげる。
(香水の匂いじゃねえし…)
バリクが香水を使ってないことは知っていた。
それにあれは良い香りという訳ではなくどこか田舎くさい感じのするものだった。
リヴァンはそれが嫌いではなかったが、どこで嗅いだのか思い出せなかった。
しばらく考えていたが、のぼせてきたので風呂から上がった。
代えの服を着たが、今のリヴァンには大きすぎた。
「タコ、タコ、タコ、タ「誰がタコですか!」
悪口は聞き逃さない部下がすぐに駆けつけてくる。
「服がでかい」
「いつ元に戻るか分からないのですからそれで我慢してください」
困ったように言われた言葉に、それもそうだと納得する。
子供服を着たまま寝て、睡眠中に直りでもしたらえらい事になるだろう。
裾を引き摺りながら歩くと、バリクが見かねてズボンの裾を折った。
礼も言わずそのままソファを陣取りテレビをつける。
見たい番組も無くてチャンネルを回していると皿洗い中のバリクが声をかけた。
「そろそろ寝たほうがいいんじゃないですか」
「んー…」
生返事を返してチャンネルを変えるとちょうど釣り番組をやっていた。
ソファにもたれかかってなんとなくテレビを見る。
このソファは硬くて動くたびにギシギシと音をたてた。
台所からはバリクが皿を洗う音が聞こえる。
安っぽい時計の音が響く。
「将軍、ここは冷えます。少し起きてください」
「……ん」
ソファで半分以上寝てしまった上司にバリクはため息をついた。
来賓用の布団は持っていないが、せめて自分のベッドを使ってもらおうと思っていたのに。
呼びかけると一応は反応するので熟睡してないのは分かるが、起きる気はないようだ。
もう一度ため息をつくと、バリクはゆっくりと幼くなった上司を抱き上げた。
小さな身体にぶかぶかのシャツがミスマッチで少し笑える。
起こさないように寝室に運んでベッドに下ろすと、リヴァンが枕に頭を摺り寄せた。
それを見てバリクはシーツを洗ったばかりでよかったと思った。
「…なぁ」
「なんです?」
眠たげな声でリヴァンが呼びかけた。
「この布団なんかしたのか?」
「なにか…?」
特に気合を入れて洗ったわけでもないしクリーニングに出したわけでもない。
ただ普通に洗って干しただけだと伝えると、リヴァンが小さく笑った。
「なるほど…」
なにを納得したのか聞きたかったが、まどろむ子供を起こすのも可哀想だったので
バリクはソファで寝るために静かに自室を後にした。
暗くなった寝室。まどろみのなかでリヴァンは子供時代を思い出していた。
夜、自宅を抜け出してレナードの家へ行くと、文句を言いつつもリヴァンをベッドに入れた。
そのとき嗅いだ匂いと同じだった。
(たいようの…)
太陽の光をいっぱいあびた布団の匂い。
リヴァンの家ではこのような古典的な方法ではなく魔法を使っていた。
大きくなってからはレナードも香水を使うようになって、匂いは消されてしまった。
昔に返りたいとは思わないけれども、たまに思い出すのは悪くはない。
懐かしい匂いに包まれて、リヴァンは眠りに落ちていった。
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